投資をしていると、「消費者物価指数(CPI)」や「生産者物価指数(PPI)」が市場に影響を与えるというニュースをよく目にします。特に新NISAで資産形成をしている人にとって、「CPIやPPIが上がると株価はどうなるの?」「投資方針を変えたほうがいい?」と気になることもあるでしょう。
しかし、長期投資においてはCPI・PPIの短期的な影響を気にしすぎる必要はありません。むしろ、ドルコスト平均法を続けることが最も合理的な戦略です。本記事では、CPI・PPIが株価に与える影響を整理しながら、長期投資における考え方を解説します。
消費者物価指数(CPI)とは?
CPI(Consumer Price Index)は、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を測る指標です。インフレ(物価上昇)やデフレ(物価下落)を判断するために用いられます。
CPIの特徴
・生活に密着した価格(食品・住居・医療・交通・教育など)が対象
・エネルギーや食品を除いた「コアCPI」 が政策判断で重要視される
・CPIが上昇すると、物価上昇=インフレが進んでいると判断される
CPIの影響
・CPIが高い → インフレ進行 → 利上げの可能性が高まり、株価にはマイナス要因
・CPIが低い → デフレ懸念 → 利下げ期待が高まり、株価にはプラス要因
生産者物価指数(PPI)とは?
PPI(Producer Price Index)は、企業が仕入れる原材料や中間財・完成品の価格変動を測る指標です。CPIよりも早く変動する傾向があり、将来のインフレ予測に使われることが多いです。
PPIの特徴
・生産段階の価格を反映(原材料・卸売価格など)
・エネルギーや食品を除いた「コアPPI」も分析対象
・PPIが上昇すると、企業のコスト増加 → 商品価格へ転嫁 → CPIも上昇しやすい
PPIの影響
・PPIが上昇 → 企業のコスト増加 → 企業利益圧迫 → 株価にマイナス要因
・PPIが低下 → 企業のコスト減少 → 企業利益拡大 → 株価にプラス要因
CPI・PPIと株価の関係
CPIとPPIは、株価に大きな影響を与えることがあります。特に、中央銀行(FRBや日銀)の金融政策と密接に関係しており、金利の動向を左右します。
金融政策と株価の関係
・CPI・PPIが上昇(インフレ加速) → 利上げ(金融引き締め) → 株価にマイナス
・CPI・PPIが低下(インフレ鈍化) → 利下げ(金融緩和) → 株価にプラス
過去の事例(米国市場)
① 2022年のインフレと利上げ → 株価下落
・CPI・PPIが急上昇(CPI 9%超、PPI 10%超)
・FRBが急激な利上げ(政策金利0% → 5%以上)
・株式市場が下落(S&P500・ナスダックが大幅下落)
② 2023年後半のインフレ鈍化 → 株価回復
・CPI・PPIの伸びが鈍化(インフレピークアウト)
・FRBが利上げを停止し、利下げの可能性が高まる
・株価が回復(S&P500・ナスダックが上昇)
→ 短期的にはCPI・PPIの変動が株価を動かすが、長期的には市場は回復する傾向がある。
長期投資で気にする必要は?
結論としては、長期投資では気にする必要はありません。
短期的に株価が上下することは避けられませんが、長期投資家にとって最も重要なのは、市場に居続けることです。
なぜCPI・PPIに惑わされるべきでないのか?
・CPI・PPIの変動は一時的(経済状況によって変化)
・短期的な株価の下落を気にして売却すると、大きな利益を逃す可能性がある
・過去のデータを見ると、一時的な暴落があっても長期的には市場は回復している(S&P500は長期的に右肩上がり)
最適な投資戦略
最適な投資戦略は「ドルコスト平均法」
市場の上下に惑わされずに淡々と投資を続けることが、長期的に最も成功しやすい戦略です。
・ドルコスト平均法(定期積立投資)を続けることで、短期的な株価の変動リスクを軽減できる
・市場が下落した時こそ、安く多くの口数を買えるチャンス
・CPI・PPIの発表で市場が動いても、気にせず投資を継続するのがベスト
新NISA向けの活用法
例えば、新NISAで「eMAXIS Slim S&P500」や「eMAXIS Slim 全世界株式」を積立投資している場合
・PPIが上昇 → CPIも上がる可能性 → 利上げ警戒 → 短期的な株価調整
・PPIが低下 → CPIも鈍化 → 利下げ期待 → 株価回復
このように、株式市場がどのような相場になるか短期的な値動きに惑わされないためにも、把握をする材料として活用することをおすすめします。
まとめ
長期投資家はCPI・PPIに惑わされない!
・CPI・PPIは短期的な株価の変動要因だが、長期投資には大きく影響しない
・短期的な下落を恐れて売却すると、大きな利益を逃す可能性がある
・最適な投資戦略は「ドルコスト平均法」で淡々と積立を続けること
インフレや市場の変動に振り回されず、長期的な視点で資産形成を進めていきましょう!
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