2025年4月7日からの1週間、株式市場はまさに嵐のような展開でした。トランプ大統領の関税発言、関税延期、中国の報復関税、米国債券利回りの急上昇、ドル安円高…。ニュースが飛び交うたびに株価は乱高下し、市場の空気は緊張感に包まれていました。
そんな中、私は特別なことは何もせず、いつも通りS&P500への積立投資を続けていました。結果としてこの1週間は、投資家としての“胆力”を試され、少しだけ成長できたように感じています。
荒れ相場の背景
では、この週は一体何が起こっていたのか?市場が大きく揺れた主な要因は以下の通りです。
【関税発表と中国の報復関税】
前週の4月2日にトランプ大統領は貿易相手国に対して相互関税を課すと発表し、すべての輸入品に10%の基本関税を課した上で、国・地域別に税率を上乗せするとしました。関税率は日本が24%、欧州連合(EU)が20%などとなっています。また、中国にはすでに発動済みの20%に加えて、34%を上乗せする方針としました。それに対して、4日に中国政府は相互関税を課したアメリカに対しての報復措置としてアメリカからのすべての輸入品に34%の課税を課すと発表しました。これらを経て、本格的な貿易戦争が始まり、世界経済に再び大きな波が押し寄せ、今週4月7日にブラックマンデーが再来し米国や日本株式市場の株価は大きく値を下げ、「株価暴落」とも言える状況が広がりました。
【関税90日間の猶予(誤報)】
4月8日はアメリカ市場も大幅な下落局面を迎えていました。しかし、日本時間の深夜に「関税に90日間の猶予を」という内容のニュースが流れ、一時的に株価は上昇しましたが、一瞬の喜びも束の間、報道否定で再び株価は下落しました。また、日本ではこの日、下落でサーキットブレーカーが発動し、同日に上昇でサーキットブレーカーが発動するという歴史的な1日となりました。
【一部地域への関税を90日間延期】
4月9日、トランプ大統領は日本時間の深夜1時頃に相互関税の全面発動を表明しましたが、2時頃に一転して一部地域への関税を90日間延期を発表しました(中国に対しては125%の関税を、それ以外の好ましい貿易相手国には当面は10%の関税をかける形に、今後合意があれば停止も)。これを経て米国株式市場は急騰、主要3指数の驚異的な上げ幅が記録されました(ダウ+7.87%、S&P500+9.52%、NASDAQ+12.16%:NASDAQは2001年以来、24年ぶりの記録的な上昇)。
余談ですが、トランプ大統領は関税延期発表前に「冷静に。全てがうまくいいく。米国はこれまで以上に大きく、良くなる」「絶好の買い時だ」とコメントを残しています。また、ゴールドサックスマンは同日、景気後退のレポートを発表しましたが、トランプ大統領の発言を経て、わずか73分後に撤回しています。株価の上昇も下落も、景気が後退するかどうかも、トランプ大統領次第ですね。
【戻り売り優勢で下落、米国債利回りの急上昇】
4月10日の米国株式市場は、戻り売りが強まり全体的に下落となりました。ちょうどこの日は3月の消費者物価指数(CPI)の発表があり、市場予想を下回りインフレ鈍化の兆しが見られましたが、株式市場には反映されませんでした。また、米国債利回りが上昇し、10年債利回りは4.4425%、2年債利回りは3.856%となりました。円高ドル安も進み、1ドル=144.83円となりました。もしかしたら、トランプ大統領は国債利回りの上昇を嫌って、関税90日間延長との発表を行ったのかもしれませんね。
通常、不安定な相場で買われやすい米国債ですが、今回はSell America(アメリカ売り)の動きが広がり、10年債の利回りが大きく上昇、これは市場にとって異例のことです。
【円高・ドル安の進行】
4月11日は、ドルは主要通貨に対して下落し、円が買われる展開となりました。ドル円は一時142円台まで円高が進み、輸出企業への懸念から日本株も大きく売られました。
以上がこの1週間で起きた内容です。
その時、私は
あえて何もしなかったです。というより、激動の中で、チャートを眺めながらいつも通りを心がけていました。
・短期的な株価の乱高下に一喜一憂せず。淡々と積立継続
目的と戦略を再確認(長期投資)し、過去のデータからも数々の暴落を乗り越えて力強く回復し、右肩上がりの成長を続けてきた米国株式市場を信じています。もちろん未来は誰にもわからないため、今後も同じような結果になる保証はありませんが、自分のお金で自分で調べて納得した上で投資を行っているため、下がっても後悔はありません。また、インデックス投資は市場に居続けることが重要であり、4月9日のような稲妻の輝く瞬間を目の当たりにできました。これも、焦って売ってしまっていたら経験できていなかったことです。そのため、今後も相場がどんな状況であっても、ルール通りの積立を淡々と実行していくつもりです。
・ポートフォリオの見直しは、いったん保留
動揺して焦って変えるのではなく、「この経験を踏まえて必要かどうかを後で考えよう」と冷静に判断しました。また、資産運用を始めた時から、投資は余剰資金で行うことを心掛けてきたため、今回のように20%ほど資産が目減りしても、すぐに必要な現金は確保していたため、動揺しなくて済んだ大きな要因かもしれません。
今回の相場で改めて感じたのは、「市場の動きは自分ではコントロールできない」という当たり前の事実です。一方で、「自分の行動はコントロールできる」という投資の本質にも気づかされました。積立投資は、下がっても買い続けるからこそ平均購入単価が下がり、将来のリターンにつながる、そして何より、「不安なときでも続ける」ことが、自分の中に胆力として蓄積されていくことを体感しました。
おわりに
今後も、マーケットは荒れることがあるでしょう。もしかしたら、3週連続でブラックマンデーが到来するかもしれません。でも、「動じない経験」をしたことで、自分なりの軸がほんの少し強くなったような気がしています。私はこれからも、感情ではなく目的と戦略、ルールに従って積立投資を続けていきます。そして、経験を重ねながら、少しずつ投資家として成長していければと思っています。