インデックス投資は相場を予測する必要がなく、市場の経済成長に乗ることが重要です。しかし、実際に自分が投資しているインデックスファンドの下落や、株価に影響を与えるニュースを目にすると、不安になることもあるでしょう。
「このまま積立を続けて大丈夫なのか?」
「1度売却して、もっといいタイミングを待った方がいいのではないか?」
そんな迷いや不安から、つい相場を読もうとしてしまうこともあります。しかし、未来の相場を正確に予測することはできません。焦って判断し、誤った行動をとることで、かえって資産形成に悪影響を及ぼす可能性もあります。
特にインデックス投資をしている人にとって大切なのは、「相場を予測すること」ではなく、「適切な投資行動を続けること」です。
本記事では、インデックス投資の視点から「読めない相場でどのように行動すべきか」について解説しています。
相場は読めないのが当たり前
「今は買い時か?」「そろそろ暴落するのか?」と悩むことはありますが、過去のデータを見ても、相場を正確に予測できた人はいません。
例えば、2020年のコロナショック時には「しばらく経済は回復しない」と考える人が多かったものの、実際にはその後の金融緩和で市場は急回復しました。逆に、2022年の利上げ局面では「まだまだ上がる」と思っていた人が、高値掴みをしてしまったケースもあります。
このように、短期的な相場の予測はほぼ不可能です。では、どうすればいいのでしょうか?
→答えは、「予測しなくても勝てる仕組みを作る」ことです。
「やること」と「やらないこと」を明確に決め、相場が読めない状況でも冷静に行動するための仕組みを作り、感情に左右されずに投資を続けるためのルールを決めておくことが鍵となります。
仕組み作り「やること」
1.定期積立を続ける(ドルコスト平均法)
インデックス投資は、長期的に市場が成長することを前提にした投資です。そのため、相場の上下を気にせず定期的に積み立てを続けることが最も重要です。
ドルコスト平均法のメリット
・高値掴みを防ぐ → 高い時も安い時も一定額ずつ買うので、リスクを分散できる
・相場を気にしなくてよい → 価格が下がったときは多く買え、上がったときは少なく買う仕組みになる
・感情的な売買を防ぐ → 「今買うべきか?」と悩む時間を減らせる
例えば、毎月3万円をS&P500指数に投資すると決めておけば、価格変動に関係なく淡々と投資を続けることができます。
2.資産配分(アセットアロケーション)を維持する
インデックス投資をする上で、資産配分(アセットアロケーション)を決め、それを維持することも重要です。
例えば、
・米国株インデックス(S&P500指数):70%
・全世界株インデックス(オールカントリー):30%
と決めたら、株価の変動によって比率が大きく変わりすぎないように調整(リバランス) します。
市場が大きく下落したときには、株式の比率が下がるため、リバランスで買い増しをする ことで、長期的な成長を享受しやすくなります。
⚠︎S&P500指数・オルカンは例としてあげています。この2銘柄への分散投資を推奨するものではありません。
3.生活防衛資金を確保する
相場が読めないときに最もやってはいけないのは、焦って投資資産を売ることです。そのためにも、生活費の3か月〜6か月分の現金を確保しておきましょう。
・仕事を失ってもすぐに投資資産を売らなくて済む
・暴落時でも落ち着いて積み立てを継続できる
・精神的な安定につながる
「暴落が来たらどうしよう」と不安になる人は、投資額が生活防衛資金を超えていないか?を見直すことも大切です。
仕組み作り「やらないこと」
1.短期の値動きに一喜一憂しない
「株価が5%下がった」「ニュースで暴落と騒がれている」など、短期の変動に振り回されると、冷静な判断ができなくなります。
NG行動
・ちょっとした下落で不安になり、すぐに売ってしまう
・「今が天井かも」と思って、焦って利益確定する
•・SNSやニュースを見て、衝動的に売買を決める
インデックス投資では、短期の値動きよりも10年後・20年後の成長を見ることが大切です。
2.タイミングを狙って売買しない
「相場が底を打ったら買おう」「高値で売ろう」と思っても、完璧にタイミングを当てることは不可能です。
NG行動
・「もう少し下がるかも」と思って買い時を逃す
・「そろそろ天井」と判断して、成長中の銘柄を早売りしてしまう
・毎日チャートを見て、売買のタイミングを探し続ける
タイミングを完璧に予測することは不可能なので、定期積立を続けるのがベストです。
3.感情的に投資判断をしない
「怖いから売る」「みんなが買ってるから自分も買う」といった感情的な投資は、長期的に見て失敗しやすいです。
NG行動
・SNSやニュースで煽られて、計画外の売買をする
・「暴落が怖いから全部売ろう」と思い、安値で損切りしてしまう
・短期の流行(AI関連、テーマ株など)に飛びついてしまう
4.借金をして投資しない
レバレッジをかけると、利益も大きくなりますが、損失も一気に膨らむ可能性があります。特に相場が不透明なときに無理な投資をすると、大きな失敗につながりやすいです。
NG行動
・信用取引やレバレッジETFを利用して、一気に資産を増やそうとする
・生活費や借金を投資に回し、損失が出たときに苦しくなる
・「取り返そう」と思って、さらにリスクの高い取引をしてしまう
長期的に資産を増やしたいなら、無理のない範囲でコツコツ積み立てる ことが大切です。
まとめ
読めない相場ではシンプルに「やること」と「やらないこと」のルールを決めておくと、迷わず行動できるようになります。
やること
・積立投資を継続する
・資産配分を定期的に見直す
・生活防衛資金を確保する
・自分の投資方針を明確にする
やらないこと
・短期の値動きに一喜一憂しない
・売買のタイミングを狙いすぎない
・感情的な判断をしない
・借金して投資しない
結局、相場を完璧に予測することは不可能ですが、「何があっても自分のルールを守る」ことができれば、長期的に資産が増える可能性が高まります。また、相場が不安定な状況においても、ルールを守って淡々と積み立てることが、最も成功しやすい投資方法です。
「読めない相場だからこそ、何も変えずに積み立てを続ける」
これが、インデックス投資家にとって最も大切な考え方です。
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